いい俳優は、いいインプロバイザー

この6日間、映画監督による映像のための演技ワークショップを受けてきた。前回とは違う監督。A4判15ページの家族シーン、男は男の登場人物、女は女の登場人物全員を演じる。当然セリフを覚え、キャラクターを変え、置かれている状況を変え、葛藤を変えて…
不安、プレッシャー、ストレス、緊張、弱気…。夏休みの宿題をやってないのに学校へ行くときの感じ。休んじゃいたい。

行って本当に良かった‼️ 多くの貴重なことを学び、体験することができた。

舞台の芝居は、リハーサル期間がある程度あるので、そこで試行錯誤し、固めていくことができる。しかし映像での演技は、ワンシーンワンシーン、セットを変え、照明を変え、アングルを変えしながらの作業なので、1つ1つのシーンをちゃんと稽古している時間が取れない。即興力が問われる。そのシーンをどう解釈するのか、効果的にどう演じるのか…

キャラクターをとことん掘り下げ、状況を把握して具体的にイメージし、葛藤をブレさせないで自分の欲に向かう。それぞれの相手役との関係性をはっきりとさせ、それを維持する。その上共演者との一球一球のキャッチボールを落とさずに続け、興味深いアイデア表現を差し込んでいきながら、全員でそのシーンが表現すべきところへ向かっていく。

大変な作業だし、ハードルは高く、ストレスはナンパなくかかるのだけど、やっぱり演技は奥深くて楽しい❣️ シーンの延長をエチュードでやらされることも多く、あらためて即興演技力の必要性を感じた。

「いい俳優は、いいインプロバイザー(即興演技者)」

アクターズスタジオのロベルタ・ウォーラックのクラスを体験すると、そのことを実感する。彼女はその場で起こっていることを一切逃さず、即時に効果的で興味深い表現につなげる素晴らしい即興演技者である。
いい俳優は、いいインプロバイザーであるのだけれど、インプロのゲームやエクササイズをやっていればいい俳優になるかといえば、全くそうではない。インプロでは自分のやりたいことをやりたいように演技すればいい。しかし、状況やキャラクターが設定されているシーンでは、それに沿った上で自分の表現力を発揮しなければならない。ましてや映像での演技では、観客にウケるように表情やテンションで大げさな演技するわけにはいかない。あたかもそこで本当に起こっているような演技…リアルな人物と関係性の表現…

ロベルタが、今年も9月の後半にニューヨークからやってくる。僕が通訳をやることになっている。「シーンの構成を考えて司令塔を自分の中に持ちながら」という今回の映像演技とは全く違う、「自分の頭の中のディレクターを殺せ」というアプローチ。彼女とまた過ごせることが楽しみでしょうがない。


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