【「より演劇的な即興芝居を目指すWS」とは 今井純インタビュー記事】第一回

【「より演劇的な即興芝居を目指すWS」とは 今井純インタビュー記事】



2018年 今井純インプロWSは新たに「より演劇的な即興芝居を目指すWS」として展開していきます。

ドュバイで観たインプロが今井純にどのような影響を与えたのか。

どのようにWSを進めていくのか。

そこから派生した、現代社会での人間の在り方など
数回に分けてインタビュー記事を配信していきます。



●第一回



ー2018年のWSスケジュールが公開されましたが、今回は今までとは少し違うレッスン内容になりそうですね?

それは、ドュバイでの体験がやはり大きいですか?



純:ドュバイで即興で感動させる芝居を何度も観て、
ゲームやフォーマットどうのこうのというインプロではないインプロをやりたくなったんだよね。

フォーマット関係ないところで人を笑わせ、感動させたっていうのが素敵だなと思って。

必ずスタンディングオベーションしてしまうくらいの、逆に言えばスタンディングオベーション以外
他にすることがないくらいの感動が即興であったっていう衝撃はすごかったな。



ーどんな内容が行われていたの?



純:例えば、キース・ジョンストンの生徒パティ・スタイルズとデル・クローズの生徒ジョー・ビルの2人が演じたシーンで
最終的には悲しい別れで終わってしまう老夫婦の話があったんだけど

そこにいくまでは笑いがあったり、切なさがあったり、色々なことが観れる。



ー人生が観れるってこと?



純:そう。
それを2人だけでやっていたんだよね。

同じキャラクターで3ラウンドで分かれて1時間くらいで芝居をしていたんだけど、それで感動する。

動き、セリフ、芝居に。
それが即興でできるんだから、まさに「即興芝居」。

やりたいよね。



ー(笑)
 
それをやる為に、WSをどう変えて行こうと思ったの?



純:インプロでよくないのが、演じることではなくストーリーテラーになること。

ルールに従って進んでいくこと。今日本ではそういうインプロがなんとなく多いなって思う。
キース(キース・ジョンストン)も最終的にはルールは取っ払わなくてはならないって言ってるんだよね。

インプロシアター(アメリカのインプロ団体)で観たのは、ルールに従って物語を作ろうとしてるわけじゃなくて
現在の、まさに今この瞬間のやりとりをしながらエンディングに繋がって行く。

そこは大きな違い。



ーと、いうと、大事なことが違う?



純:僕がやりたい即興芝居にはインサイドアウト(内側から湧いてくる衝動やアイディアを使うこと)がすごく重要で、今は頭で考えた演技が多いかな。

中身から表現したいんだよね。それがストーリーになるから。

キース(キース・ジョンストン)も言ってる。ストーリーを作ろうとするなって。

一つ一つのやりとりが変化していくことがストーリーなる。だから一つ一つのことを繊細に大切にしないといけない。
とにかく繊細に。
自分はそうありたいし、それをやりたいかな。



ーインサイドアウトを大切にしながらってことは

今やってるやりとりを意識しながらそこまでにやっていたことを意識する感じ?

ーそれ、単純なようですごく難しいよね。
 その瞬間瞬間関わりながら、プレイヤーとしてのマインドも忘れず、けど頭は使わず、
 
 それでもエンディングに向かおうとする…。
 
 例えばそこまで何をやっていたのか覚えておくっていうのもスキルがいるよね。



純:一生懸命覚えておこうとすると今にいれないから、
最近のWSでは複数のことを同時に処理して行くエクササイズをしてる。

これはトレーニングしていかなきゃいけない部分。

複数のことを同時に処理出来る能力があると興味深い展開に出来るんだよね。

ストーリーとか展開のことを考えず、一瞬一瞬その場にいて、相手と関わって、さてどうなるのか。



ーなんだかそのやりとりはマイズナーテクニックのレペテーションと近いように感じるのだけれど、どう?



純:そうだね。
即興芝居は言葉を変えていいだけのレペテーションのようなことだからね。

感性とか感覚とか気づきを大切にして、そこからさらに表現していく。



ーなるほど。そういう部分を磨いていった先で、即興で脚本よりもすごいものを作るっていうことだね。

ー「即興で台本よりもすごいものを」っていうのは、純さんは脚本ではあまり心動かないということ?



純:ううん、そうじゃない。

最近では自分自身が脚本のWSを受けたり教え始めたりして、脚本がある芝居も改めて好きだなあと思ったし。

でも、即興は舞台に立っている人の表現がかなり本質的で、一瞬一瞬を生きている。

ドュバイでは即興なのに、そんな風に出来ちゃうんだっていう
マジックを見ているような驚きがあってね。



ー脚本だから感動が起きないってことじゃなくてってことですね。



純:もちろん。

でも、即興の場合はその場でハプニングしたっていうことが
脚本の芝居にはない驚きと感動に繋がるんだよね。



ーまだ、即興「なのに」なのかもしれないね。即興「だから」じゃなくて。



純:そうだね。まだ「なのに」なんだと思う。

即興では想定外なことが起きる。未知に踏み込まざるを得なくなる。

どうなって行くのかわからないところで紡いで行く。
先が読めないのに堂々と表現して行く。

それは役者が持っているべき覚悟というか。

一瞬一瞬生きるっていう姿勢を体現するしかないよね。



ーインプロの一瞬を生きるっていうのは、脚本の芝居をやってて先を想定するなって言われるそのスキルだよね。



純:そう。
いいインプロバイザーはいい役者、いい役者はいいインプロバイザーっていう言葉が方程式として成立する。



ー自分も即興のシーンをしてて思うんだけど、即興の形というか、
 ここで展開が起きなきゃいけないみたいな関わり方されると難しいよね。
 
「こうあるべき」っていうのが頭の中にあるのがインプロの弊害なところがあるから。
 
相手が物語のこと考えちゃってると、その人とその瞬間に関われなくなっちゃうんだよね。
 
もっとじっくりやろうぜ、みたいなさ。速さとか、頭の中で起承転結みたいなことをし始めちゃうと
 
物語にはなるんだけど、やりとりができないのはすごくあるかな。
 
それだと純ちゃんが言ってた目指したいところへは行けないね。



純:うん。物語を作ろうとしちゃいけない。そうしようとしちゃいけない。

レッスンとかトレーニングの間に物語を作る感覚を身につけておきたい。頭で考えるんじゃなくて。

大胆なアクションをしたとして、そこで足を踏み外してもいいけど
対処の方法は身体に染み付いているという状態にしたいよね。

そうすればあとはどうぞご自由にって出来るじゃない。

みんな身体に落ちていない中でやろうとするから。
「こうであろう」「こうしよう」としていたらそれは一瞬一瞬即興出来ない。

意図しなくてもそうする、そう出来る状態まで身体に落とすことが即興にも必要。



ーよく、即興って稽古いらないんだよね?とか、稽古って何するの?って聞かれるけど
 トレーニングは絶対に必要だよね。



純:絶対に必要。大事なことを身体に落とす。
頭でわかっていたり考えたりする必要がないところまでトレーニングしないと。



ー即興としてもそうだけど、今聞いていて思うのは
 即興のトレーニングはやっぱり役者としても役立つというか必要な気がする。
 相手とその瞬間関わる、先のことを考えないでその瞬間関わることが必要だから。



純:役者として必要不可欠な能力。即興で演技をする能力は。



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続く


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